ニュース&トピックス

環境にやさしく食の安全・安心へ向けて(水稲種子を農薬使わず消毒)

2021年03月12日

(ムラなく乾燥させるため均し作業)

 

 JAとまこまい広域は2月10日、厚真町上野地区にあるJA施設で水稲種子の温湯消毒作業を開始しました。

消費者の食に対する不安
 水稲種子(以下、種子といいます。)の播種前処理として従来は、カビやいもち病・苗立枯細菌病等を保有している種子に農薬を使用し消毒することで、病気発生源となる細菌を消毒し病気の発生を抑制していました。しかし近年では、食の「安心」・「安全」志向が高まっており、2015年に行われたネットリサーチ会社のマイボイスコム(株)の食の安全に関するアンケート調査(第5回)では、食の安全に対して不安を感じる人は全体の6割強。不安要素の上位3位には「添加物」「残留農薬」「輸入食品の安全性」となっており、「残留農薬」に対する不安は大きくなっています。
 当JAでは2010年から農薬を使わず種子を消毒できる温湯消毒を採用し、食の「安全」・「安心」でクリーンな水稲生産への取り組みを行っています。また消毒を行う手法の労力は増しますが、減農薬によるコスト削減や廃液処理が不要なためメリットは大きくなっています。

温湯消毒の作業工程及び方法
 ネット袋に入れた種子(1袋/5kg)を60℃の温湯に10分間浸して消毒後、冷水で冷却させ脱水、乾燥を経て保管庫に貯蔵しており、職員ら7名で日量3,600kgを作業しています。

・作業工程詳細
① 十分に乾燥した種子をネット袋(1袋/5㎏)に詰める
② ネット袋の中にロット番号札を入れる。(トレーサビリティーへの対応)
③ 種子がこぼれないようにしっかりと結束
④ 60℃の温湯に10分間の浸漬処理
⑤ 浸漬処理後、冷水で冷却
⑥ 冷却後、脱水機にかけ水分をとる
⑦ 脱水後、ラック(1ラック/約72袋)へネット袋を並べ乾燥庫へ入れ、翌日ネット袋の天地返を行い、乾燥ムラを防ぐ
⑧ 格ラックごとに水分量15%を目安に検品し完成
⑨ 倉庫で保管し配送
※熱処理での温度は様々ですが、65℃以上での消毒は種子に影響を及ぼす可能性があるため、当JAでは60℃の温度に設定し熱処理しています。

不測の事態に備えて
 温湯への浸漬が長すぎると発芽しないため、ロットごとに発芽試験を実施し適切な作業実施を確認する他、出荷後でも追跡を可能にするため、ネット袋(1袋/5㎏)ごとにロット番号札を入れトレーサビリティーへの対応も図っています。
 今年は、『ななつぼし』や『ゆめぴりか』を中心に昨年と同等の約82,000kgを消毒予定。3月中旬に消毒終了し、順次水稲農家の下へ引き渡す予定となっています。

 温湯消毒責任者は「食の安心・安全において農薬を使わないこの温湯消毒という方法で、食の安心・安全に不安をいだいている消費者の皆様に少しでもクリーンなイメージを持ってもらい、当JAのお米のブランド米の「たんとうまい」、「さくら米」、「雪瑞穂」を食べてもらいたい」と話しました。

※参考文献:マイボスコム㈱の食の安全に関するアンケート調査(第5回)2015年調査
URL:https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=20306
※参考文献:Think and GrowrRicci 農薬を使わない湯温消毒法。湯温消毒の仕組みとそ
の効果
URL:https://www.kaku-ichi.co.jp/media/tips/hot-water-disinfection

ページトップへ